Collection(データ収集)

「使える」データとして集める

  1. データ収集の目的
    データ収集か開始する前に必ず「何の為に集めるデータをか?」を考えます。昨今のデータベースは大量のデータを保存できるようになっていますが、データベースが肥大化するにつれ、データ検索のパフォーマンスは低下します。また大量のデータを送受信するとネットワークにも負荷がかかります。データ収集の目的は様々ですが、「使う為」に収集する訳ですから、使う時の事を考えたデータ収集を検討する必要があります。
    近年、設備稼働状況のデータ収集が普及してきていますが、設備稼働の健全性や予防保全のデータとして使うのであれば、設備データそのものを扱う事が主目的です。しかし設備の稼働率と良品質は必ずしもイコールではありません。品質データを扱う場合、製品測定、検査時のデータとセットで、その製品を生産する為に使用した設備の状態、条件(速度、温度、振動、様々な設定パラメータ等)を同時に収集し、良品生産の条件を特定する為のファクター(要素)として扱う事になります。つまり、データから工程改善を行うには、計測や、設備データをバラバラに集めるのではなく、計測データを閲覧した際に、どの設備を、どんな条件で通過してきたかという情報が、製品固有の番号(シリアル番号等)に紐づけられていなければ、良品製造の条件を解析する事ができません。



2.データのフォーマット
データ分析で最も頻繁に行うのが「比較」作業ではないでしょうか。比較する為には一定のルール、フォーマットに従ったデータが必要です。しかし装置メーカやモデルが違う場合、データの出力方法、データの並び順や項目もバラバラで、場合によっては手入力が必要な事もあります。これらを一定のルールに沿って並び替え、且つ必要な情報を不足なく収集できるようなフォーマットを考案するにはデータ収集の経験値が不可欠です。Q-DASでは30年に亘り、様々な企業の品質管理、工程管理に携わるエンジニアのワークグループによって研究された品質データフォーマット、AQDEF ( Advanced Data Exchange format)を採用しています。一般的なファイル形式(CSV、Excel、xml)や、測定機、検査機メーカ専用のファイル形式もコンバータを介してAQDEFにフォーマットに変換し、比較可能なデータを生成します。

3.データの一時保管
 「サーバ、クライアントのシステムよりもクラウドシステムの方がサーバの運用コストがかからないので安い。Q-DASは対応していますか?」との質問を受ける事があります。もちろんMicrosoft®やAmazonの提供するクラウドサービスを使ったデータベースの構築も可能です。しかし安定したデータ収集にはデータの一時保管が必須です。いかに安定したネットワーク環境下でも接続トラブルは必ず発生します。ネットワークが切断された時、データ収集が停止してしまう様では安定したデータ収集は望めません。ネットワークのトラブルが発生時もデータ収集を継続、データを一時保管し、接続が復帰したら自動的にクラウドデータベースへ登録を再開する機能が自動化には不可欠なのです。

また、機器単体の情報をオペレータへ表示する場合、ローカルPCに保存されたデータを使って表示する方がクラウド経由よりも早く、効率的です。昨今クラウドコンピューティングに替わり、エッジコンピューティングというローカルサーバでの分散処理という考え方が台頭してきていますが、Q-DASは製造現場で使用されてきた経験を活かし、早くから分散処理をシステムに取り入れてきました。

4.収集するデータ変更への対応
管理する製品、特性値はいつまでも同じという事はありません。製品改良があったり、新製品が投入されたりすれば、検査、測定内容の変化により管理項目や項目数が変わります。これらに柔軟に対応できるデータ収集の方法と、データ構造にしておかなければ、製品に変更がある度にシステム変更が必要になります。導入時は初期コストばかりに目が行きがちですが、保守、アップデート等でランニングコストが初期コストを上回るのにはそれ程時間はかかりません。将来的なランニングコストを低く抑える為には、初期段階でシステム設計や、データ構造を熟慮しておかなければ、いずれ高額なランニングコストがシステム拡張の足枷となります。自社専用に開発されたシステムは自由度が高く、最適化されたものを構築する事ができますが、日々変化する検査、管理業務に対応する為には専任者による定期的なデータのメンテナンス、バックアップ、システム改良が必要です。ランニングコストを抑える為には自社のプロセスで必要な機能を持つ、柔軟性と拡張性の高いパッケージソフトウェアを選択する事が大切です。