当社では工作機械で機上計測を行うユーザにQ-DASのsolara.MPモジュールを使ったCg、Cgkの算出を推奨しています。Cg、Cgkが測定システムの能力を評価するものであるという事と、その計算方法についてはネット上でちらほら見かけるようになりました。「精度の確認は重要」という認識は多くの方が持っていると思います。しかし具体的に何の役に立つのか、沢山測定して平均と繰り返し(最大-最小)の幅を把握しておくだけではダメなのか、加工精度とどう関係するのか?という視点での解説はあまり見かけません。
Cg、Cgkの話をする前に工程能力指数のCp、Cpkについて少し触れておきます。詳しく知りたい方はこちらのページをご覧下さい。
専門家のツッコミを恐れず、大雑把に説明すると、Cpはデータのバラつき(分布)の評価です。Cpkはバラつきと、バラつきの位置も同時に評価します。
つまり、Cpは値のバラつきの幅が0.1なのか、0.01なのかという事を評価します(片側公差の場合Cpは使えません。)バラつきが小さければ、Cpの値は大きくなります。
一方Cpkはバラつきの他に、その位置も評価の対象になります。例えば、規格値(基準値)が直径10㎜の穴を加工した時に、平均が9.9mmなのか、10.2mmなのか、プラスマイナスのどちらに、どれだけ偏っているかを評価します。
一般的に1.33以上が合格と言われていますが、中には自動車部品のように2.0を求めるような厳しい要求もあります。
Cp、Cpkの状態別バリエーション
バラつきも少なく、公差の中心にデータが集まっている。Cp。Cpk共に理想的な状態。
バラつきは少ない=Cpには問題が無いが、全体的にマイナス公差寄りでCpkが良くない。
全体的にマイナス誤差で加工されている。オフセット量を調整したり、温度をコントロールする事で加工精度は改善する可能性があります。
バラつきが大きく公差を超えてしまいる。Cpが1を切っているので非常に悪い状態。
設定した公差に対して製品のバラつきが大きい為、加工方法を検討するか、より高精度な機械が必要です。
バラつきは少ない=Cpには問題が無いが、全体的にプラス公差寄りでCpkが良くない。
全体的にプラス誤差で加工されている。このケースもオフセット量を調整したり、温度をコントロールする事で改善する可能性があります。
知らないと損をする!?
Cp、Cpkの値は品質が上がる(バラつきが少なくなる、規格値に近い加工ができる)と値が大きくなり、品質が下がると小さくなります。しかし、Cp、Cpkの値を左右するのは実は品質だけではあません。
加工精度は十分なはずなのにCp、Cpkの値が良くならない場合があります。
その場合とは?
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